純粋化の定義
まず、純粋化の厳密な数学的定義から始めましょう。
定義
X を密度行列 ρ で表される状態にある系とし、∣ψ⟩ を Y をトレースアウトすることで ρ が得られるような対 (X,Y) の量子状態ベクトルとします。
ρ=TrY(∣ψ⟩⟨ψ∣).このとき、状態ベクトル ∣ψ⟩ は ρ の純粋化と呼ばれます。
定義の等式が成り立つとき、量子状態ベクトルではなく密度行列で表された純粋状態 ∣ψ⟩⟨ψ∣ もまた ρ の純粋化と呼ばれることが一般的ですが、本レッスンでは主に量子状態ベクトルを指す用語として使用します。
純粋化という用語は 、系の順序が逆になる場合、系や状態の名前が異なる場合(もちろん)、そして3つ以上の系がある場合にも、より広い意味で使用されます。
例えば、∣ψ⟩ が複合系 (A,B,C) の純粋状態を表す量子状態ベクトルであり、等式
ρ=TrB(∣ψ⟩⟨ψ∣)
が系 (A,C) の状態を表す密度行列 ρ に対して成り立つ場合、∣ψ⟩ はやはり ρ の純粋化と呼ばれます。
ただし、このレッスンでは定義で説明した特定の形式に焦点を当てます。
この定義による純粋化に関する性質や事実は、通常、系を2つの複合系に並べ直して分割することで3つ以上の系に一般化できます。片方が X の役割を担い、もう一方が Y の役割を担います。
純粋化の存在
X と Y を任意の2つの系とし、ρ を X の与えられた状態とします。
系 Y が十分に大きければ、ρ を純粋化する — つまり ∣ψ⟩ が ρ の純粋化であるということ — (X,Y) の量子状態ベクトル ∣ψ⟩ が存在することを示します。
特に、Y が X と同じかそれ以上の古典状態を持つならば、すべての状態 ρ に対してこのような形の純粋化が必ず存在します。
一部の状態 ρ では Y の古典状態がより少なくて済みます。一般に、ρ を純粋化する (X,Y) の量子状態ベクトルが存在するために必要かつ十分な Y の古典状態数は rank(ρ) です。
まず、任意の正の整数 n に対して、ρ を n 個の純粋状態の凸結合として表す式を考えます。
ρ=a=0∑n−1pa∣ϕa⟩⟨ϕa∣
この式において、(p0,…,pn−1) は確率ベクトルで、∣ϕ0⟩,…,∣ϕn−1⟩ は X の量子状態ベクトルです。
このような表現を得る一つの方法はスペクトル定理を用いることで、その場合 n は X の古典状態数、p0,…,pn−1 は ρ の固有値、∣ϕ0⟩,…,